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KOTSUTSUBO

ワクワクする骨壷

「白磁のものは水が入ると抜けなくて、中の御遺骨がぐしゃぐしゃになる。あれは可哀想でならない」

これは、故郷の富山で石材店を営んでいる友人の言葉です。ふと骨壺に興味を持ち、墓石も手掛ける彼に聞けば何かヒントがつかめるだろうと連絡したら、思いもしなかった話をされました。

「人は亡くなっても魂は残ると思う。それを粗末にしてほしくないし、ましてや骨壺に雨水が溜まったら溺れて苦しいよね。だからこそ骨壺は、雨水が抜けない と意味がない」

友人の心からの嘆きを聞いてまず取り組んだのは、御遺骨を傷めないための、水はけのよい土の研究でした。水を外に出すにはサクサクの土が適しているのですが、一般的な工程では固まりにくく割れやすくなります。そこで通常1230度のところをマックス高温の1300度で焼き締め、落としても割れにくい硬度を得ました。

焼き上がった壺の水はけは満足いくものでしたが、相性のよい釉薬を探し出すのもまた時間がかかりました。とは言え、自身の代表作と呼ぶべき陶製のワイングラスですでに発表していた「21世紀の伝統になるべき色」を採用することは最初から決めていました。ワイングラスと同様に10色としたのは、好きな1色を選べるようにしたかったからです。

生前葬や生前墓が広まる中で、やがて自分が入る骨壺を決めることができたっていい。自分で決められるなら、カッコいいものが欲しい。そんな人々のために、あるいは故人の好みを偲びたい方々にとって、ワクワクしながら選べる骨壺をつくりました。

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