『楽焼』
これは小さな窯で作品を一つ一つ丁寧に薪で焼いていく。
毎回、窯の中の焼成条件は違う。
温度計もない。
目で炎の色を見て、耳で炎の音を聴いて、窯内の様子を予想する。
甘かったら釉薬が溶けきらないし、焼き過ぎると釉薬が剥がれ落ちてしまう。
激しい炎を使っての窯焚き。
一見はワイルドにみえるが、とっても繊細な窯焚きなのだ。
毎回、窯の雰囲気が違うから出てくる作品も違う。
今回のお茶碗は『手取り感』がバツグンにいい。
ここ数年かなり意識してつくってる。
手の中にスッとおさまる気持ち良さ。
是非とも手の中の宇宙を体験してほしい。
『楽焼』の師匠がフィリピンにいる。彼らは『楽焼』を『RAKU』と言う。
この前、語学留学でフィリピンのセブに行った時、
帰りにマニラの南にあるバタンガスという町で毎麺(親友という意味)のパブロのスタジオで数日間、RAKUなどの作品を制作してきた。
現地の粘土で。粘土に言語はない。土と会話できれば世界中一緒だ。
これからも、新しい楽焼を探し続けたい。
陶芸家 青木良太